【長崎】活性化する地域の秘訣

 
 
 

波佐見町陶農日記

 

長崎県波佐見町の大石です、こんにちは。すっかり秋到来という今日この頃、栗おこわやだご汁をお腹一杯いただいたり、肌寒い日に飲みたくなるチャイ用の波佐見焼マグを捜し歩いたりして、食欲全開な陶農ライフを満喫しています。

波佐見町陶農日記」2回目となる今回の記事の舞台は、初回と同じ鬼木郷。郷に通い続けて見つけた「活性化する地域の秘訣」をレポートします。

 

鬼木棚田祭りと案山子(かかし)

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鬼木棚田のある鬼木郷(波佐見町には22の「郷」と呼ばれる集落があり、そこに住む人々のことを「郷民」と呼びます。)は前回紹介した農産物加工センターのように地域雇用や体験型観光を行っている施設を有しており、農業をベースにした地域活性化モデルに成り得る(と私は思っている)地域です。

郷を包み込むようにそびえる山々の側面には耕作されていない畑がいくつも存在するというのも事実ではありますが、今なお美しい棚田は維持されており地域一帯が黄金色に輝きだすころには多くの観光客が訪れます。中山間地域でありながら観光客数や売り上げは年々増加。

一体どうして成長しつづけられるのだろう…という疑問を抱きつつ、郷に通い続けていた9月23日、「鬼木棚田祭り」に参加してその答えが見つかりました。「鬼木棚田祭り」は毎年9月に開催されます。

 

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祭りの目玉である「案山子コンテスト」では有志が案山子を出品し、豪華賞品と名声をかけて人気投票ナンバー1の座を狙います。今年の出品数は、なんと120体!決まりなどないフリースタイルの案山子達は棚田を両脇に構えた道路沿いにずらずらずら~っと展示され、あっという間に異世界が誕生します。 

来年度は県の棚田サミット、平成29年度は全国の棚田サミットの舞台です!

創作意欲さえあれば誰でも参加できるこのコンテスト。長崎県波佐見町観光協会が主催する体験ツアー「とうのう」では案山子づくり教室を開設し、初心者の方々の参加もサポートしています。

 

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案山子づくり教室の講師は生粋の鬼木っ子である地元のおじちゃん達で、骨組みの作成からポーズの決め方まで手取り足取りレクチャーしてくれます。フリースタイルなので使用する材料ももちろん自由なのですが、今回の教室では鉄筋の骨組み主軸に作り上げました。

手際の良い方は3時間、じっくり作りこむ方は約1週間で完成。できた案山子はコンテスト当日まで自宅や公民館にそっと寝かせておきます。コンテスト出場者たちは頑なに口を閉ざし、どんな作品を作ったのか教えてはくれません。

 

祭りの一日、賑わう郷

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祭り前日から当日にかけて、はるばる来てくださる観光客を精一杯おもてなししようと郷民総出で準備に取り掛かります。普段はさほど多くない交通量で細くても何不自由ない道が、この日ばかりは車が進まないほどの混雑を見せるため、麓からシャトルバスが運行します。

特設会場の設営やエントリー案山子の設置といった力仕事に男性陣が汗を流しているちょうどその頃、加工センターや公民館の炊事場に集まり無料振る舞いの田舎汁や商品の調理に追われる女性陣。

おばあちゃんとて朝早くから道路沿いの草刈りに精を出し「お疲れ様です」と声をかけたその背中は案山子だったりして。郷民と案山子、みんなでお客さんを迎えます。

祭りは予定通りの10:00に開始。案山子コンテスト投票の他にも参加費500円で1本の縄で縛れるだけの枝豆を収穫する「枝豆収穫祭」など、おもしろいイベントが盛りだくさん!

あっという間に14:30からの最後のイベント「餅まき」になり、祭りは大盛況のうちに幕を閉じました。売れ残った商品は2個入りおにぎりが2パックのみ。

途中、品薄状態でお客様をお待たせしてしまう事態が起きてしまうほど、多くの方々にご来場いただきました。祭りの夜は公民館に集まり無事に祭りを終えたこと、そして流した汗にカンパイです。

 

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祭りは終われど案山子の展示は10月13日まで続きます。展示期間中は雨に打たれても風に吹かれても良い状態で案山子を維持できるように、日々杭の打ち直しといった御直しを行います。

また、農産物加工センターの前には特設テントが設けられ、郷で採れた栗や米、みかんなどの持ち寄り農産物を販売しています。どれもこれも車で来ないと持って帰るのも一苦労な量目で、田舎特有の豪快さとおおらかさが表れています。

鬼木郷の活性化の秘訣

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鬼木郷が活力にあふれ年々成長し続けている背景には、故郷をこよなく愛する郷民のひとりひとりが労をいとわず参加するという姿勢がありました。結局のところ、この姿勢こそが活性化の秘訣であると感じました。

条件不利と呼ばれる中山間地に小規模農地が集まった棚田で営む農業は効率を度外視し、その地を好きでなければ到底成しえない生業です。また、「みんな家族みたいなもんやっけんねぇ、なかんよかとよ(仲が良いのよ)」と話してくれたのは農産物加工センターのみなさん。

かといって、地域の強いきずなの裏返しでもある田舎独特の排他的な一面は無く、「地域おこし協力隊です」なんて言って突然入ってきた「よそ者」に対してもとても親切にしてくださる郷民の方々。

この地域全体の絆の強さとおおらかさも活性化には欠かせないポイントなのかもしれません。私は棚田が続いていくことを願うと同時に、きっとこの郷は元気なまま残っていくと確信しています。

来年の棚田祭りもお楽しみにーっ!

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