【北海道】がらめ昆布から見る焼尻島 <第2話/「こいつ何モンやねん?」元昆布屋ですら、馴染みのない存在>

 
 
 
焼尻島産『がらめ昆布』が並ぶ某スーパー

焼尻島産『がらめ昆布』が並ぶ某スーパー

第2話/「こいつ何モンやねん?」元昆布屋ですら、馴染みのない存在

・『第1話/昔から変わらない景色』
 http://chiikitecho.net/2148/ 

私事ですが、僕が新卒で入社した会社は大阪にある昆布の加工食品メーカーでした。

営業マンの端くれとして最初に学んだのは、昆布の種類やその特長。『昆布は、日本では14属45種あり、全世界では、北半球に26属、南半球に9属生育して……』

云々、なかでも利尻昆布、三石昆布(日高昆布)、真昆布、細目昆布、羅臼昆布など、代表的な種についてはひたすら暗記して、虫食いのテストを受けた思い出があります。

地道な勉強の末に昆布や商品の特長を覚え、いつしか営業活動にも慣れ、さぁ僕も一人前の昆布営業マンに!!……というところで会社を辞めてしまうのですが、それはまた別の話。

ただ、そんな僕ですから、普通の人々よりは昆布に対する思い入れがあったりします。

 

見たことのない昆布……でした。

見たことのない昆布……でした。

当たり前のような顔してるけど「こいつ何モンやねん?」

羽幌町内、焼尻島内では、当たり前のような顔をしてお土産屋さんの店頭にならんでいる商品です。ですが、元・昆布屋の僕からすれば穏やかではありませんだした。なにせ、昆布屋時代に『がらめ昆布』なんて一度も習っていませんでしたから。

国内にある14属45種の昆布一覧表を見ても『がらめ昆布』の名前は見当たりません。おそらくこの地域に限った呼び方なのでしょうが、上司の評価を気にしながらあれだけ必死に昆布について勉強した僕が知らないとなると、逆に気になるってなもんです。

「いやいや、こいつ何モンやねん?」と。

「昔っからあるけど、そったらこと気にしたことねぇべな」

 

少し水分を含ませるだけでけっこうねばります。

少し水分を含ませるだけでけっこうねばります。

元昆布屋ですら馴染みのない存在、『がらめ昆布』。

おそらく名前はこのあたりの方言だと思われます。考えてばかりでは仕方ない……と実際に食べても、その謎は深まるばかりでした。

一番の特長は、ねばり。

粉末の『がらめ昆布』に水分が含まれると、糸を引くほどにねばりが生まれます。焼尻島ではお味噌汁に入れるのが一般的ですが、ほかにもそのねばりを活かしてオクラ、ヤマイモ、納豆などと混ぜて食べる人もいると聞きました。

ねばりのある昆布と言えば、松前漬けなどで有名な『がごめ昆布』が広く有名です。ただ、がごめ昆布は国内だと函館などで採れる道南のもの。焼尻島が属する道北地方で採れるなんて聞いたことがありません。

しかし、島の人たちに聞いても、島では当たり前すぎるのか「昔っからあるけど、そったらこと気にしたこともねぇ」なんて反応がほとんどです。灯台下暗しってヤツでしょうか。なかなか手がかりが掴めませんでした。

 

昆布拾いの風景そんな『がらめ昆布』は、毎年9~10月にかけて海がシケた日のあとに拾われます。

昆布拾いの風景そんな『がらめ昆布』は、毎年9~11月にかけて海がシケた日のあとに拾われます。

毎年9~10月にかけて行われる昆布拾い「もう何十年やってるかもわかんねぇ」
10月のとある日、島の西浦海岸に向かうと、朝から島人たちが昆布拾いに取り掛かっていました。足もとの防水はバッチリ。肩から網でできた袋をさげ、お手製のカギで引っ掛けて昆布を拾い上げます。その繰り返し。

「もう何十年やってるかもわかんねぇ」とは慣れた手つきで黙々と拾い続けるおばあちゃんの言葉です。

 

焼尻島でずっと続いてきたこの景色

焼尻島でずっと続いてきたこの景色

最中はみんな一生懸命なのですが、ひと息つく時は雑談で盛り上がったり、腰をおろしておにぎりを食べたり。どこかピクニックのような雰囲気を感じました。

「ほら、これ持っていきなさい」

眺めていると、ありがたいことにいつも誰かが昆布をおすそ分けしてくれます。本当にありがたいです。ただ、ひとり暮しの男なら確実に持て余しそうな量だったりして。(笑)

「ひとりで使い切れるやろか……」

たくさんいただいた食材をきちんと使い切ることも、島で生活していくうえでの大切なスキルなのだと噛み締めつつ、今晩の献立を考えます。

 

この独特の形状が「がらめ昆布」です

この独特の形状こそが「がらめ昆布」です

『がらめ昆布』の原藻は、見てわかるとおり波打った独特の形状が印象的です。

波打った独特の形状……。

これが『がらめ昆布』の正体を暴く手がかりになりました。

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